仕事ができるプログラマって、できないプログラマに比べて「10倍」も生産性が高い。とか言う話がありますよね。
僕も体感的に、本当にできるエンジニアは本当に生産性が5倍とか10倍とか変わることを見てきました。
でも開発の現場では「残業しまくってる」ほうが、なんだか仕事してるように見えてしまう。
そんな中で久々にこの記事を目にしました(漫画なので1分ぐらいで読めます)。
■「残業しないで帰るSEってやるきないんじゃない?」
http://next.rikunabi.com/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=000800
2006年の記事ではありますが、こういう話って普遍的なので古くもありませんね・
残業しないで定時に帰れるって評価するべきだし、残業をせず家庭を大事にする社風にしたい。
すごく生産性が高いっていうエンジニアを評価したい。
でも残業してるのって分かりやすいから評価されがち。
こういうジレンマは、以前からずっと感じていましたしなんとかしたいと思っていたところ、
最近「2つの仕組み」によって解決に向かっています。
仕組み1) プロジェクトの原価と利益の管理の徹底
どのプロジェクトで何時間稼働しているか?を時間単位で管理して、原価と利益率を「毎週」のプロジェクトリーダー同士で共有しています。
個人個人の給与をオープンにするのは別問題が発生するので、メンバーのレベルに応じて社内の原価を決めて管理します。
原価管理を厳密化し共有することで、「儲かってるプロジェクト」「儲かっていないプロジェクト」がわかります。
自然と、儲けるために効率よく働こうと考えます。
たったこれだけの仕組みで、残業を避けようというモチベーションが湧いていることが目に見えて分かります。
効率の良いメンバーは、早く帰れますし、プロジェクト全体の利益のために助け合うことが活発化します。
営業段階でも、利益を意識して仕事を決めてこれます。
仕組み2) 「裁量労働制」の導入
原価管理を厳しくしただけだと、会社は利益を出しやすくなりますが、個人に還元しにくいです。
できるエンジニア目線でいくと、定時に帰るプロジェクトばっかりで残業代がなくなって、残業している人より薄給になります。
とはいえ、プロジェクトの利益率などに応じて給与額に還元するのはかなり難しいです。
例えば、事務的な作業が煩雑化しますし、減額などになったときにモチベーションが下がるなど、バランスを取るのが難しくなります。
だから、効率よく働いた上で、あまった時間を自分の時間として還元するのが良いと感じています。
自分の時間で新しく勉強するもよし、早く帰って家族との時間を増やすもよし。
ということで、社内で仕事している開発メンバーは、1日2時間の残業を見込みます。
極端な話1日6時間だけしか働かなくても、定常の8時間+残業2時間=10時間働いたことになります。
1日2時間なので、月40時間。これは前年の残業時間の平均が月32時間ほどだったので、40時間にしました。
残業をしようがしまいが、毎月40時間は残業したことになるので
早く帰っていればそれだけ時間あたりの報酬は高くなります。
営業戦略の絡みなどで、どうしても厳しい納期のプロジェクトなどは、
この裁量労働の枠を越えて残業をしてもらうこともありますが、それも救済できるような仕組みにしました。
最後に
利益管理と裁量労働の2つを組み合わせたことで、好循環が生み出せています。という話でした。
エンジニアの生産性とかいう話も久々ですが、
社内開発が多くなってきて、自社コントロール下の制度を作っていけるので前向きな話にしやすくて、うれしいです。
いい制度を作って、オープンにすることは、良い人材を採用するためにも経営にはとても大事なことです。
ということで、だんだん良い会社になって来た感があります!
長く働いてもらえる会社づくりを、これからもがんばります。
追記
・いまの社内開発は、基本的には残業をしない文化なのでいまのところ労働側に利益はあっても、不利益はないです。
・ただのみなし残業で会社側に不当に有利にならないように、すごく気を使って制度を組み立ててます。
それでも、労使のどちらかに不満が出た場合は裁量労働を見直すべきと考えています。
・厚生労働省の「専門業務型裁量労働制」というのを使って制度を作ってます。
この「専門業務型裁量労働制」では「対象となる労働者からの苦情の処理のため実施する措置の具体的内容」というのがうたわれているので、苦情窓口があります。
・生産性が高いのは、早く帰れるだけではなく賞与の査定などで給与面にも反映されます。
追記2
・裁量労働が気に食わない人については、定時+残業の働き方は残していて、
それはそれで正当な働き方だと思うので、それを選択したからと言って評価が下がる事はないです。
ただ、そちらを選ぶと「残業する」ことが「評価」され、その評価の対価として残業代をもらうという考えもある程度受け入れなくては仕方ないと感じます。
・マネジメントが失敗すると利益率が悪くなってメンバーは損をするという部分は、
確かにそうだから、マネジメントの失敗は非常に責められる所が多いです。
当然、マネジメントの成功は讃える所も大きくなります。
それって仕事の責任が大きいということであって、
上に立つべき人に上に立ってもらうという昇格人事の話ですね。
そういったところも考慮した考課をしていますが長くなるので次回。
・できる人は、早く終わってもまた新たな仕事を振られるというのは
確かにその通りながら、1年間通じてその人が上げた利益は大きくなるので、
別基軸として年間表彰や賞与な形で報いています。
・生産性10倍の考え方は瞬発的に10倍のスピードという側面が大きいので
平均すると精々2倍ぐらいでしかないことはあります。
ただプロジェクトの利益で推しはかると、
片やできなさすぎて赤字を出す人も過去に見てきましたし、
片や生産性高く利益を予定の数倍出す人も居ます。
プロジェクト単位で評価すれば、赤字 対 黒字では倍どころの話ではなくなります。
と考えて、やっぱり2倍ぐらいは評価していいチームはあると考えています。