以前のエントリ(ルールメーカーの生産性は、96倍 - 山本大の日記)
に対して、コメントをいただきました。
今のPJでは、アサイン当初、まともなルールが無いPJでした。
「おいおい、こりゃまずいんじゃない??」と思い、
自分が色々とルールを決めてみんなに提示したりしてました。
その結果…
・そのルールに欠陥(抜け)があって、バッシング
・メンバ内で徹底されず、逆に面倒な事に
こんな状態でした。ルールを作り出す事は重要だと思いますし、
必要だと感じれば、柔軟にルールを変える事は大賛成です。
でも、それを周知に徹底させて、実践し、推進していく事も同じく重要だと思わされる事が
今のPJではかなりあります。
周知に徹底させる為には、何が必要でどうすれば実践されると思いますか?
これには僕も覚えがあります。
一例を挙げると、僕が今の会社に入る前、仕事上のやり取りをルール化しようと考え
社内でコミュニケーション用の掲示板を立ち上げたときのことです。
はじめ僕は「ルールを作るのなんか簡単」だと思っていました。
「正しいルールを作れば、ひとりでにルールが動き出す」と。
しかし現実にはそんなことは、まずないのです。
当時の掲示板は、まったく書き込みも少なくて、すぐに廃れてしまいました。
制度設計の必要性
ルールとは、多かれ少なかれ人の行動を縛り付けるものですから、
束縛度に見合うほどのメリットがないと浸透しません。
出来る限り、実践に手間がかからず、誰からも不満が出ず、
メリットが大きいルールを作ってやらないと反発が起こります。
ルールは安易に作るものではなく、綿密な「制度設計」をやる必要があります。
僕も、会社(クロノス)のリーダー達が集まる会議で
会社の制度設計をいくつも立案検討してきましたが、
それはそれは、ケンケンガクガク、いろんなところに注意して設計しています。
人の心を理解し、導いていかないとルールは作れないのだと実感します。
制度設計の内容は、それぞれなのでおいておくとして、
ここでは周知と徹底の話に絞りましょう。
制度設計の原則
ルールを新設するときに従うべき原則を4つあげます。
原則1:小さく始めて、大きく育てる。
はじめから大きなことをやろうとしたり、多人数に徹底しようとすると失敗します。
新設のルールにはアラや欠点もあるので、初めは小さく、改良してから大きくしていくのが鉄則です。
原則2:ルールに巻き込むために"相談"しろ。
ルールは独りで決めるのではなく、一緒に進めてくれる人たちに相談しましょう。
相談を受けて嫌な気持ちになる人は居ません。
相談を受けると、自分自身のこととして考えはじめますし、
自分で発した言葉には、何かしら執着を持つものなのです。
そういえば以下のブログのエントリーに面白い話が載っていました。
「商品A、B、C、Dの中から好きなものを一つだけ選んでください」
【東京ブック】 自己説得効果をうまく使おう | IDEA*IDEA
とクイズ形式で質問をしてみる。
そうすると、選択する前よりも選択した後のほうが、その商品をいっそう好きになる、という実験結果がある。
質問されると他人に意見を押し付けられるのではなくて、本人が主体的にモノを考えるため「自分で自分を説得する」効果があるらしいのだ。
これを心理学では「自己説得効果」と呼ぶ。
これって心当たりがありませんか?
自分で選択したモノや発言に執着が湧いてしまうことって。
ブレストのつもりだったのに、いつの間にか自分の言った
アイデアにこだわっちゃって、偏っていくこともありますね。
これをルールの徹底において利用するのが、「相談」なのです。
相談された人も、そのルールを自分のアイデアと混ぜて消化し、
好きになってくれるかもしれません。
そうやって改善しながら回りを巻き込むことが大事なのです。
原則3:ルールを馴染ませるためには、まず自分が徹底しろ。
ルール作りとは森に道を付けるようなものだと思います。
1度通っただけのときは、足跡がつくだけです。
2人目が通れば、回りの草木がなぎ倒されます。
3人目が通れば、道筋が見えてきます。
4人目が通ったときに、初めて道になります。
出来立てのルールは、そのままだとまた草木に埋もれてしまうものです。
だから、何度も自分で通って育ててやる必要があります。
少なくとも自分はそのルールを守り続けてやらなくてはなりません。
原則4:ルールの出所を大事にしろ
リーダーが発表するルールと、
一般メンバーが発するルールでは
同じ内容だとしても重みが違います。
ルールを守るほうも、面倒なルールを守るだけの
大義名分が立つからです。
出所を工夫するというのも一つの賢いやり方です。
昔の会社での掲示板の教訓から、
今の会社に入ってから社内掲示板を立ち上げたときには、
自分だけでも毎日2〜3件の投稿をして盛り上げる努力をしました。
資産が貯まれば活用も広がるからです。大いに失敗もありましたが、
いまでは会社の業務遂行に不可欠な掲示板となり、
コミュニケーションにおいても一役買っています。