Joelの5つの世界というのをご存知だろうか。
(知らなければ是非、一読を→Joel on Software - 5つの世界)
5つの世界というのは
−パッケージ
−インターナル
−組み込み
−ゲーム
−使い捨て
の5つである。
このところは、スマートフォンアプリ開発という第6の世界が出現していると僕は考えている。
先日のエントリ「人月は悪どころか、ものすごい善かもしれない - 山本大の日記」のブコメで、上述の5つの世界を例にあげて、もっと考察が必要だと指摘してくれた人がいる。
僕はスマフォ関連の開発は5つの世界のどこにも当てはまり、どこにも当てはまらない世界だと思う。最近は、どういう切り口でIT業界を切ったとしてもどこにもホットトピックとしてスマフォが出てくる。パッケージだろうが、ゲームだろうが、SIだろうが、無差別であり、当然組み込みの世界にとても近い。どの世界の専属でもないが、Joelの言う5つの世界の特徴すべてに当てはまりうるので5つの世界では整理がつかない。
しかも、いまのところこの6番目の世界は、既存の5つの世界のあらゆる所に影響を与えるほどの勢いがあり、大きな価格破壊を伴っている。
これからはスマフォの時代だからエンジニアはiOSやAndroidをやるべきだー。とか言ってる訳ではない。人月、請負、SIの世界のままで、のうのうと生きられると思ったら大間違いだということを言ってる。
スマフォアプリの価格破壊はSIerにとって対岸の火事ではない。この10年は必ずこの業界はスマートフォンに影響を受ける。
SI業界を含むIT業界で言うと、スマフォの登場は単純に新デバイスが出て技術的に革新があったというだけではなく、SIエンジニア単価に影響し、パッケージソフト単価に影響し、コンシューマゲーム業界の構造に影響するといったように、IT業界構造に大きな影響を与えるパラダイムシフトの切っ掛けになる出来事だったと、振り返って思う。
たとえば、スマフォ要件を含むWebアプリの請負開発を見積もると、スマフォ部分に引きずられて必ず単価が叩かれる。そういう仕事はもっと増えていくだろう。
企業は採算がとれなくなると、業種を変えるか、人件費を削って無理矢理すすめるか、倒産するか?だ。
とはいえ、エンジニアにとっては悪い話ばかりでもない。
参入しやすい第6の世界で名を上げればエンジニアとしての大成に結びつきやすい。
僕の中でのエンジニアの大成の定義とは、自分で自分の代表作となるソフトウェアを持ち、いつでも独立独歩、食い扶持を稼げることだ。ゲイツのWindows、ジョブズのMac,iPod,iPhone、ザッカバーグのFacebookのようにだ。
これからのエンジニアは、人月のような護送船団、あたたかいぬるま湯を当てにしては居られない、だから自分の代表作を持ち独立独歩を目指すのだ。
いずれ知識労働は、ドラッカーの言うように全員が経営的観念をもたなくてはならなくなる。
エンジニアは知識労働の最たる物だから自然な流れかもしれない。
そういう世界に向けての準備はできているか?
あなたの代表作はなんですか?
経営者になる準備はできていますか?