ウォーターフォールモデルで成功する会社は、僕は天才型企業だと思う。
意外に感じるかもしれない。「天才こそアジャイルだろ!」ってなるんじゃないかとおもう。
でも、最近経験しているいろいろなことが集約されて、天才はウォーターフォール。努力が必要な人はアジャイルと感じる。
いきなり余談からはいるが、僕らの東京事務所は渋谷のヒカリエの向かいにあって、事務所の窓から神々しいまでのヒカリエの姿が見える。
しかしながら、僕らの事務所は窮屈でお世辞にも奇麗とはいいがたいビルだ。
ヒカリエのまぶしさをこのところ目の当たりにしながら、思いを馳せることがたくさんある。
よくわからない事を言ってるのは承知でいうけど
ヒカリエ=計画主義=天才型=ウォーターフォールなんだ。
もう一つ余談は、「すべては一杯のコーヒーから」というタリーズコーヒーの経営者の自伝書を読んでいて共感することにある。

- 作者: 松田公太
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/05
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ヒカリエの計画的成功とは真逆の試行錯誤とフィードバックの成功モデルがタリーズにはあった。
タリーズ=フィードバック重視=泥臭い努力型=アジャイルなんだ。
一気に親近感がわいたタリーズが渋谷では道玄坂方面にしか無いのが残念だが、今後はスタバよりタリーズを贔屓にしようと思う。
さて、ウォーターフォールとアジャイルの違いは、計画重視とフィードバック重視の違いと置き換えることが出来るというのが本題。
計画重視とは、それを成功させるのは天才の所業である。
フィードバック重視とは、ある意味、才能の点では全面降伏を前提としている。
これを実感したのは、ある会社さんに頼まれたコンサルの仕事で感じた挫折感と競争心に発端がある。
とあるSI会社さんで、1ヶ月ほどPMO/コンサルで週1回伺っている。
仕事の依頼内容は、受託開発のプロジェクトマネジメントがどうも不安材料があるとのことで、PMOをやってほしいというもだ。
受託で成功体験をしているクロノスのPM経験もながい山本さんに第三者的に監査してほしいというものだった。
少々こそばゆいような持ち上げかただとおもったけど、平素お世話になってる会社さんだし、出来る事があれば個人的にもうれしいので引き受ける事にした。この会社を仮にA社としよう。
他社のマネジメントスタイルを、本音ベースの隠し事ほぼなし状態で見られる機会も少ないから刺激になるだろうと思っていたら、想像以上に刺激的で勉強になる事しきりだった。
弊社とは違ってトンガッた計画主義だった。
プロジェクトマネジメントが下手どころか、完璧だった。
業界最大手でもこれほどのマネジメント力はないだろうというレベルだ。
一言で言えば天才型だった。
企業スタイルの大きなちがいは、アジャイルとウォーターフォールの違いにも現れる。
僕らの会社は、アジャイルを重んじる。
A社は、先鋭的に計画主義だ。
しかし、天才型のこの会社は、天才のノウハウを引き継いで行けばウォーターフォールでも成功する。
ちなみに僕は、計画主義とウォーターフォールについては、否定的ではないどころか、非常に肯定的だ。
Web、特にはてなで、ウォーターフォールが悪になってるのは違うと思う。
時代背景にあわせて改良はすべきだが、正攻法の一つだと思ってる。
ミッションクリティカルな業務でアジャイルモデルは危なっかしすぎる。
これはJoelの5つの世界に現れているけど、違う世界の話を一緒くたで話できないだけだ。
Joel on Software - 5つの世界
僕らが携わっていた、通信キャリアさんむけの社会インフラのような仕事では、計画的であることは至上命題だ。
そういう業務では、計画的かつ、経験則による計画のブラッシュアップこそが、正攻法でありつづける。
しかし、ソーシャルゲームや新興Webサービス会社では全く以て逆だ。
「属人性を突き抜けろ−ソフトウェア業界のパラダイムシフト - 山本大の日記」っていうエントリでも言ったけど、新興のWebサービス企業では、今作ってるWebサービスが1年後存続してるかどうかもわからない、ましてや3年後あるかどうかは10パーセント以下の確率だ。
そんななかで、Webサービスを作るのに引き継ぎや属人性排除のためのドキュメントを作ってる場合じゃない。
それこそ、メインのエンジニアが事故で亡くなったら、サービスも終了ぐらいの勢いで、属人性を突き抜けてサービスのスピードを加速するべきだ。
実際10年続くサービスなんて稀なんだから。
考えてみてほしい、10年前の2002年ごろ。Windows2000であってMeだったんだから。
いまの新興Webサービスの世界は属人性を突き抜ける世界だ。
そして、新興すぎてノウハウの無さ、チャレンジ部分の多さから、計画的になりようがない。
自分たちの知識レベルで満足できるはずも無く、必然的にフィードバック重視のモデルになる。
ただただ、自分たちをビジネスの天才と思っていない者による必然的な行動がフィードバック重視のアジャイルなんだ。
ウォーターフォールで上手く行く会社は、全く異なるのだ。
かっちりした計画の精度を、天性の才能とノウハウの蓄積でやっていくのである。
企業がノウハウをためるべきだし、属人性は排除すべきだ。正しいのだ。
それが出来ていれば、ウォーターフォール改良型で十分SIやって行ける。
そういう会社さんのコンサルティングをしていて、それも一つの正解だと気づいた。
ヒカリエが、大人の女性向けをコンセプトにしていると聞いて、かつ毎日見ているヒカリエへの集客実績を見ていると見事な計画力と実現力に舌を巻く。
それに引き換え、アジャイルの泥臭さといったら、、、、
これは先述のタリーズコーヒの立志伝に通じていて、僕は泥臭さとタリーズとアジャイルに共感を得てしまった。
しかし、僕らのモデルでちゃんとがっつり儲けないと、偉そうな事いえない。
僕のミッションだと思ってる。