レベルエンター山本大のブログ

面白いプログラミング教育を若い人たちに

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施設が立派でも働く人がその思想を理解していなければサービスは価値を失う

国立の新しい美術館でのこと。

この施設は本当に子供やお年寄りに優しい施設だと感じる。

授乳室は最近珍しくないけど、託児所まで完備した施設は、東京都内でもそうそうはない。

展示の文字も大きく作られていて、館内全域でバリアフリーだ。



それでも、小さい子供連れ(1歳3ヶ月)での美術館は何かと気を使う。

展示場へは、夫婦交代で入って周りに迷惑をかけないように気をつかった


ウチの嫁さんは周りに迷惑をかけるのがとても嫌いだ。

迷惑かけないようにいつも頑張ってる。今日もそうだった。


さて一回りして、疲れたので地下のカフェへ行った。

子供はだんだん疲れて、ややグズりはじめる。もう眠たいのだろう。

カフェの席は、子育て経験も豊富な奥様がたと相席になった。

「かわいいね」とか「あー懐かしい」とか、ほのぼの見てくれてた。


でもいよいよ寝ぐずりタイムで泣き始めてしまった。

立ってあやしてもいうことを聞きそうにない。


そんなときに、店員と思わしき若い男性から


「周りのお客様の迷惑になるので、泣き止ませてください」


と。


おー簡単に言ってくれるね。この状態の子供をどうやってすぐに泣き止ませるんか教えて欲しいわ。と思ったが



とりあえず、夫婦顔を見合わせて、即座に「出よう」となった。

まだコーヒーも残ってるけど、しょうがない。


相席の奥様がたは「ぜんぜんいいのに、気にしないで」と言ってくれたが。

ウチの嫁さんは耐え切れないのだ。

迷惑をかけてることを気にしている人なのに、「迷惑かけんな」と面と向かって言われたのだから。


取るものもとりあえずの形で、全部ベビーカーに適当にのっけて、逃げるようにその場をあとにした。

でも、さすがにトレーまでもっていけないので、ゴミ捨てとともに僕は残って単独片付けをしてたんだけど


嫁さんに追いついてみると、なにやら顔を腫らして泣いてる。



後で聞いたら、その後も子供がしばらく泣き止まなくて、

あやしながらエレベーターホールの前で、僕を待っていたら


さっきの店員が追いかけてきて追い討ちのように

「迷惑なので、早く泣き止ませてください」というようなことを言ってきたらしい。


ちゃんと居合わせていたら、反論の一つもできたのに。


ぐずる子供相手に即座に泣き止ませるなんて、そんな便利な技ねーわ。



だいたい小さい子供はNGなのか?

立派な授乳室が完備されてて、託児所まで準備されてる施設なのに、

入れ物とサービス内容がちぐはぐじゃないか。


周りの主婦の先輩方はとても同情的で、「あんなXXXな奴の言うこと聞くことないんだからね」

個人ブログでもあまり言えない罵詈雑言とともに励ましてくださった。

別の女性の係員らしき人が寄ってきて、その男性店員は別のところに追いやられたようだが

その後の処遇はしらない。まぁ彼は彼の正義感で仕事をしたまでだろうから、とがめられるようなことでもないだろう。


しかし、

彼は知らないらしいけれど、人間というものは全員小さい頃があり、こうやって迷惑をかけつつ誰しもが大きくなったのだ。もちろん彼自身もだ。


誰にも迷惑をかけず、泣きもしない子供は、それの方が心配だと。


確かにうちの子が周りに迷惑をかけたけど、泣いていたのは5分以内だ。

うちの子、結構おとなしいので、寝る寸前の数分しか泣いていない。

それにウチら夫婦も、できるだけ迷惑かけないようにがんばったよ。

でも無理なこともあるじゃないか。


そういう素晴らしい施設ながら、中で働くひと(の一部)にはそんな意思が伝わっていないように感じた。

子供お断りの姿勢なら、そういうレストランなんかにはそもそも子供連れて行かない。


でもその場所は、子供連れでも大いに歓迎されていると感じた素晴らしいサービス・素晴らしい施設だった。

あの託児所や授乳室、バリアフリー化には、どれだけお金がかかっただろうか。

全館のあらゆる思想が、僕ら子連れを歓迎してくれているようにみえた。

この施設の経営者や作った人たちの思想は、明らかに子供連れを歓迎する精神があったと読み取れる。


あの店員だけが、その精神を全く持ち合わせていなかった、彼独自の正義感で迷惑な僕ら一家を追放した。


嫌な思い出だけが残ってしまった。僕らにとっては彼が、その施設の代表者だ。



僕は経営をするから、こういう人にもきちんとそのサービスの精神を教えておかなくてはいけない。

そもそも理解ができないような人なら、雇ってはいけない。と、本日思った。

お金をかけて構築したサービスの根本的な精神を台無しにするから。