レベルエンター山本大のブログ

面白いプログラミング教育を若い人たちに

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エンジニア人月0円セールと、ござ先輩に見た未来

今日はid:gothedistanceと飲んだ。1年ぐらい前から飲もう飲もうといっていてようやく実現。

さすがはござ先輩。いろいろと教えてもらった。


その中で、SIおよびSEのこれからに暗い影を落とす話をした。

これはウチの関西側の営業担当が聞いてきた、あるSE派遣の企業の話。(とはいえ関西企業に限った話ではない)


何十人もの新人さんを集めて、無料でいろんなプロジェクトに派遣するビジネスモデルが台頭してきているらしい。

何十人の内、数名でも生き残って、その後定期的な売り上げになれば良いという、携帯の新規契約無料みたいなモデルだ。

経験者も言い値で出すという。


新人さんに経験を付けてもらうためにお試しで出向することは百歩譲って良いとしよう。

いくらなんでも新人ばかりで上手くいくと思っているような

受け入れ側もプロジェクトもさすがにないから、

こういう新人さんを受け入れるのも1つのプロジェクトで1人〜2人ぐらいなもんで、

プロジェクトが失敗する要因にまではならない。



でも、使い捨て前提で大量採用して、経験者も言い値で業界全体がデフレになることも無視、

ただただ人材ブローカーとして儲かればいい、という無責任な派遣側の経営に腹が立つ。


しかも、エンジニアというものは決して「安かろう悪かろう」というもんでもなく、

自分の単価を知らずに不遇にも耐えて頑張る経験者さん なんかもいるわけで、

頑張れば頑張るほどデフレを引き起こすという悲しい物語がある。



これによって、業界全体のSEの単価が暴落している。

少なくとも関西では平均10万は下がってる印象だ。


当然、エンジニアの平均的な給与も下がる。

話を聞くと、月勤務200時間オーバーのエンジニアで年収250万程度という

エンジニアもほんとうにザラに聞く。


蟹工船とまでは言わないが、耐えきれるぐらいの給与水準だからこそ、

純朴な地方の若者は素直に耐え忍ぶのだ。

業界は、湯でガエルとなりつつあるのか。


これは地方都市に限った話などではない。

地方と首都圏の両方の拠点を持つ会社さんは、

この手で地方から集めた若者を関東の各プロジェクトに派遣する。



そんなモデルはSEの使い捨てだ、と批判しても価格破壊には勝てないのだ。

他方で、僕らは新人をインターン時期含めると8ヶ月は教育して

手厚く手厚く教育してJava資格を2つ取ってから現場に出る。


手厚くやっても出先は埋め尽くされている。1人月という単位は変わらないのだ。

...なんと言う不条理。価格破壊が業界を悪くすると憂いても無意味。

直面する現場では無料のエンジニアで席が埋まるのだ。


悪貨は良貨を駆逐するのか。


いずれにせよ、これからSIにいる者すべては、変革に直面している事は間違いない。


一つの答えは、id:gothedistanceではある。

彼と会って一番感じた事は、思っていた通りITがビジネスと組合わさったときの凄みだ。


ビジネスの武器としてのITは依然として意義深い。

ビジネスは成長を続けるものであり、企業や組織は常に変動する生き物だ。


一つの企業のビジネスに状況にぴったりフィットするITの提供や、

ビジネスの状況/環境に先手を打つようなITの提供は、やっぱり高い価値がある。


id:gothedistanceは、ユーザ企業のCTOとして働く事で、

ぴったりフィットのITサービスを提供している。


これほど意義深いエンジニアの姿はないだろう。



SIは大きな過渡期にあるのは間違いないし、先細りしているように見えるのは確かだ。



しかしながら、ソフトウェアの利用価値は増すばかりだし、

エンジニアのスキルに価値があるのは間違いない。


僕らはもう一つの答えを出したいと考えているが、出せるだろうか。


併せて読んでほしいござ先輩の所見。

ただ、これだけは分かって頂きたい。

IT業界を語る上で皆様にご認識頂きたいのは、「単純なIT技術者の派遣を生業にする企業」と、「正しく責任を持ってSIを展開している企業」が「IT企業」の一言で括るのは違うって事だ。この括りには強い憤りを感じている

クラウドがもたらしたSIの価格破壊の果て - GoTheDistance

まさに!
やばい鳥肌立った。


追記
このエントリを見ている教え子らには希望を捨てないでほしいと切に願う。
プログラミングができるようになることや社会インフラであるITの現場にかかわることは、教えたとおりとてもエキサイティングでやりがいのある仕事だ。
ここまで価値を下げてしまったのは僕らを含めた先人たちの責任だが、若く希望のあるみんなと共に変えていきたいと思ってる。