新入社員研修の講師をしているため、今回は新人向けの話。
私自身も体験したことだが、社会人とそれまでの学生時代との最大の違いは、
圧倒的な権力を持つ純粋な"消費者の側"から、
"提供者の側の最下層"に回るということだ。
学生時代までは、アルバイトで多少社会と触れ合うことはあったとしても、
やはりスタンスとしては圧倒的に消費者である。
世の中に価値を生み出すことが生活の中心にはないのだ。
これは価値を循環させている社会からすれば、
無邪気な傍観者であり、ある意味で絶対的な権力者だ。
無責任が許される、お金をはらっている側だからだ。
遅刻をしても謝れば許される。
授業なんてお金払ってる側だから、寝てようが暴れてようが結局許される。
サービスの提供者に対しても無遠慮で当たり前だ。お金を払っている側だからだ。
料理が出てくるのが遅ければ文句を言うだろう。
買った製品のマニュアルが分かりにくければクレームの電話を入れるだろう。
これらは社会人でも同じであるが、学生時代という傍観者のスタンスからだと
全ての吐いたツバは、サービスの提供者に振りかかるだけだ。
ところが、社会人になると
急に価値の提供者側に立つことになる。
しかも最下層の「新人カテゴリ」に組み入れられる。
周りのサービスの提供者は、全て自分たちよりも先輩、上位の人たちになる。
クレームを「言うだけ」の側から、いつクレームを「言われるかわからない」側に立つ。
「無責任に人の文句を言うなら、自分を振り返ってみろよ。」といわれてしまう立場になる。
これは世界が変わったと思ったほうがいい。大革命がおこったのだ。
最下層からだんだんと力をつけ、
いづれ提供者であり消費者という立場に立つ日が来る。
その時ようやく、「大人」と呼ばれるようになる。
18歳も20歳もまだまだ子供。
大人は提供する側にまわり、自分の食い扶持を稼げる者を指す。
新人諸君は、ようやくスタートラインに立った。
新しい世界は、責任も問われるし面倒も多いけれど、
自分の存在意義を見出す唯一の世界だ。
ようこそ新世界へ。