レベルエンター山本大のブログ

面白いプログラミング教育を若い人たちに

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標準化に必要なのはフレームワークよりも(美女)エバンジェリストだ

でかいプロジェクトで開発標準を定着させるには、フレームワークやドキュメントよりも「標準化伝道師(エバンジェリスト)」を常設するほうが効果があると思う。

開発標準は、その組織の文化だといえる。文章やソースコードで文化を根付かせようとしても上手くいかない。

組織の文化とは人が言葉と行動によって伝承するものなのだ。

希望を言えば伝道師はできれば女性がいいなぁ。
エンジニアは男性が多いからやたらテンションが上がるし、女性の活躍の場も増えるので誰も損をしない。

伝道師は、新規プロジェクト立ち上げ時やフェーズの切り替わり時期に、次フェーズについての標準的手法・技法を全メンバーに伝授する役割を担う。
また、標準についての情報を管理し、プロジェクトごとの開発標準のカスタマイズに関わる。


プロジェクトでの標準化が上手く力を発揮すると品質・効率・保守性などの面で良い効果が期待できるから取り組み事態は素晴らしい。
しかし、ドキュメントやソースだけを当てにした標準化の取り組みでは、望んだ効果は得られていない会社が多いようだ。
陳腐化と形骸化にさいなまれて2〜3年も持たずに廃れる。

いろいろなSI会社さんで社内フレームワーク(設計標準を含む)に関わってきた経験上、社内フレームワークが廃れる理由は以下だと考える。

【社内フレームワークが廃れる理由】

  • 世間の技術的流行の流れが速い。
  • 枯れた技術をベースにするから、生まれながらに後手に回ったものとなる。
  • 内容の周知・教育およびメンテナンスのコストが払いきれない。
  • 製作メンバーが高スキルであるためにリリース後、散り散りになり根幹のナレッジが貯まらない。
  • プロジェクト独自の要求に対応するために標準を無視せざるを得なくなる。
  • 高度なエンジニアにとって、人が作った標準を押し付けられることは我慢ならないという心理的な背景がある。


陳腐化と形骸化に打ち勝つためには、“柔軟な標準”と“強固な標準”という一見相反する要素を追及しなくてはならない。
これはフレームワークやドキュメントだけでは難しい。
物理的・電子的には存在していたとしても、その存在意義を理解していなければ、利用すべき状況で利用できず存在しないのと同じことになる。

我々エンジニアは電子データで書いたモノの伝達力を過信しがちだ。だから「人から人への伝達」の力を改めて見直すべきだと思う。
フレームワークやドキュメントが無用というわけではないが、適切な柔軟性を得るためには人の判断が介入したほうが効果がある。

人から人への伝達が根強さを生み、人の判断の介入が柔軟さを生む。

こういった仕事は、通常現場のリーダーやPMOが行なうことが多い。
しかしリーダーは業務の片手間にやるからなおざりになりがちだし、PMOはチェック機関としての役割を担うことがあって、その煙たさが伝道の阻害要因になる。


やり方が根付くまで、人が手間をかけてやる必要はあるのだ。