エンジニアの能力を「生産性」と呼ぶのはやめたらどうだろう?
エンジニアの能力を「生産性」と表すのが、
業界の認識間違いを引きずる原因の一つだと思う。
生産性とは、決まったものを作り続ける性能を表す。
「この自動車工場のラインごとの生産性は、1日に100台だ。」という文脈なら正しいが、
たしかに、エンジニアの仕事の中には「生産」の作業も含まれる。
しかし、本質的には「創造」の作業のほうが近い。
創造性(=クリエイティビティ)の求められる作業だ。
クリエイティビティといっても、芸術的創作活動ばかりを表すわけではない。
例えば、アインシュタインは、なんら創作物を残してはいないが
クリエイティブな発想で世界に貢献した。
では、クリエイティブか否かを決めるのはどういったものだろうか?
ある人は「想像的(イマジネーティブ)なものを生み出すこと」だと言った。
またある人は「独創性(オリジナリティー)のあるものを生み出すこと」だと言う。
しかし、これらをクリエイティビティーの定義とするには
全体を包括的に表すものとはいえない。
想像的で独創的なもの、例えば「空飛ぶ電子レンジ」というものを発想した人がいたとして、
突飛な発想であることは間違いないが、それがなんになるのか?
どこにも価値をもたらさないものをクリエイティブと位置づけるのは無理がある。
クリエイティビティーは、
「価値を生み出す」こと「目的を達成すること」を前提にするべきだろう。
エンジニアの仕事の中で、「クリエイティブな発想力」が必要なのは
「問題」に対する「問題解決」だ。
開発で出くわす問題は、それぞれ独自の背景があり、
まったく同じでないものが多い。
これに何らかの解決を見出すのはクリエイティブな仕事だ。
その方法が、想像的・独創的でなくてもかまわないのだ。
クリエイティビティーの向上を目指すほうが、
「生産性の向上」のために、
やたらツールの使い方やショートカットをおぼえるよりも、
重要度が高いように思う。(※僕は、ツールもショートカットは大好きだが。)