「山本さんは会社への忠誠心が高い」と昔からよく言われるが、
僕自身はそういう古めかしい感情はあまり好きではないし、忠誠心を意識して仕事をしているつもりもない。
(しかも、今となっては経営者だから忠誠心というような受身の心構えではやっていけない。)
とはいえ「自分のためだけ」に仕事はしない。誰かのために仕事をするように心がけている。
これは綺麗ごとを言いたいわけではない。
嘘でもいいから「誰かのため」と思って仕事をすると
自分の能力を120%発揮できるし、苦しい状況にも耐えられる。結果として、より急激に成長もする。
この偽忠誠心は、僕の成長戦略だ。
自分のために頑張るというのは、ギリギリのところの踏ん張りがきかない。
理不尽な要求や、厳しい案件などに耐え切れない。
耐える意味が見出せない。だから耐えようとしても自己矛盾に陥って鬱になるだけだ。
自分の能力を超えるリスクを取る理由がないから、大きなチャンスを逃すことにもつながりやすい。
自分のためだけに仕事をしているなら、今頃、僕は安定した生活に満足してしまって、自分の成長すらどうでもよくなってるだろう。
人のためというヒロイックな妄想があるから、苦手な得意先でも踏ん張って交渉できるし、
海外へ単身赴任とかいわれても肝を据えて乗り切れる。
3週間で90ページの加筆とかいわれてもなんとかする。
「家族のため」は、わかりやすいけど、仕事の原動力にはならないときがある。
「会社のみんなのため」というのは、仕事の原動力として他人を担ぎ上げる口実として使いやすい。
会社が大きすぎて「会社のみんな」にピンとこないなら、身の回りにいるお世話になってる人でいい。
そういう風に自分を騙そうとしたときに、胸が気持ち悪くならない会社を選んで入るのがいい。
大仰な忠誠心など持つ必要はない。利用できるものをキッチリ全て利用すれば良く、会社側もそれで利益がある。
エンジニアは独立心が強くて、組織に依存しないというスタンスをとる人が多いが、その分踏ん張りのきかない人も多いと思う。
土壇場で踏ん張らなくてはならないことが、30代になって増えた。
家族が出来れば、もちろんもっと踏ん張らなくてはならないときが増える。
第一、時々訪れる苦しい状況から逃げていては、大きな成長は望めない。
成長のためのリスクを取るにも覚悟が必要で、自分のための覚悟は高が知れている。
会社に愛着がもてないのならば、プロジェクトチームのためなどスコープを狭めてみてはどうだろうか。
嘘でもいいから「この人(達)のため」と仕事の大義名分とするなら、誰のためだろうか?と自問してみるといい。
早いうちに見つけられれば、大きな成長の機会を逃さずに済むと思う。