レベルエンター山本大のブログ

面白いプログラミング教育を若い人たちに

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30代に必要な「なんとかやり遂げる能力」

30代に差し掛かる弊社のリーダー達にとって共通する一つの問題は、

どのような30代を過ごし、どのようにこれからの仕事人生を送るかということです。


僕も30代に入って間もないのでまだまだ発展途上ですが、

僕が考えるには、不可能だと思えることをなんとかやりとげる能力が、大事だと思っています。


僕が、困難な仕事をなんとかやりこなすためにいつも心がけていることがあります。

  • 1つ前向きに考え、あきらめないこと
  • 2つまずは全体量を減らすこと
  • 3つ徹底的に分析し、計ること
  • 4つ自分の能力(生産性)を知ること
  • 5つ使えるモノはなんでも使うこと
  • 6つ作業の手順を決めること
  • 7つ片っ端から取り掛かるのは最後の最後


でも、30代までに必要なこととは、

そういった

やり遂げるための自分独自の鉄則

を集めておくことではないでしょうか。

そして30代から大事なのは、それらを使って実際に様々なことをやりぬくことです。




自分独自の鉄則を持っていれば、IT業界だけではなくどんな仕事をしても通用するものです。


最近、僕自身がそういう困難な状況を克服したことがあったので、その経験を書きます。



僕は、1年半ほど前から本を執筆しています。

"開発の現場の鉄則"みたいな本です。

このブログで書いてることを、もっとじっくり書いたものです。



最後の1ヶ月は波乱万丈ありまして、

ラスト3週間で90ページの原稿を追加しなくてはならないという怒涛の要請がありました。

ちなみに、それまで1年半かけて書き終えた原稿を編集してみると

110ページ分にしかならなかったのです。


そこを3週間で90ページ追加


到底不可能だと思いました。



しかし実は、この本の初版の売り上げが、

会社的に丁度、今期の目標を達成するかしないかという微妙なラインを

左右する位置にありました。(売り上げと言っても微細な額なのですが)

そのため、3月完成は絶対でした。



もう、気持ちは沈んでどうしようもなくなっていましたが、、気づきました。



おやおや。これはどこぞのプロジェクトと同じでは?




僕はいくつも困難なプロジェクトをやってきたじゃないか

という思いから、プロジェクトと同じように

最後まであがいてみようと思うようになりました。



とりあえず、プロジェクトマネジメントをするときと同じく、

計画してみることにしました。



まずは、全体のボリュームについてです。

そもそも今回の誤算はページ数の算出方法でした。


僕はWordで原稿を書いていて、そのページ数で算出していたのですが、

改行・空白、図のサイズなどで、思ったよりボリュームが出ていなかったようです。


そこで文字数で厳密に予定を立てることにしました。

編集者さんと相談し、800字/1ページという小さめサイズの

本にすることにしたので800×90で、

残り72000文字ということになります。

期間は3週間(=21日)です。



ここでイキナリ書き始めてはいけないということを

僕は現場で思い知らされています。


火を噴いた現場でも同じですが

片っ端から取り掛かるのは最後の最後です。



初めにやるべきなのは、

キーマンとの相談や交渉によって

全体量を減らすことです。


編集者さんに電話して

「目次とか、図とか、サンプル設計書とか

 そういうのをつけるって話は初めからありましたし。

 残り70ページにしてくださいよ」

と交渉し、見事に70ページで確約をもらいました。


これで70×800=56000です。



次に、使えるモノはなんでも使うこと


ボツにした原稿を掻き集めて読み直しました。

ボツにしたものでも、

話の流れ上やむなくボツという原稿がいくつかあったので

それらをもう一度再構成して、どうしてもつながらないものは

コラム扱いにして組み込むことにしました。



こまごまとしたものを集めて、事例などで膨らますと

20000文字になりました。

これで残りは36000文字。

一日1800文字です。



まだ書き始めません。

作業の手順を決めます。

第1に効率の良い作業を消化してペースに乗ろうと考えました。


どういった文章を書くのが最も効率がよく品質の高い文章になるのかを考えたところ、

具体的な事例を紹介するのは、イメージしやすいので沢山の文字を効率よく書けます。

それから、既に書いた文章を理解しやすいように補足する作業も効率的に文字がかけます。

その中で自分の能力(生産性)を知ることも重視しました。



まずは、こういった効率の良い作業だけを

1日集中してやることにしました。

第1日は3000文字も進みました。


とはいえ、これはかなり無理をしたペースだったし、

ここまでの作業は、あまり考えなくても書ける作業でした。

最も大変なのは、書くことではなく考えることです。

つまり、ここからが本番なので楽観的には見れません。


平素は開発プロジェクトにも出ているので、時間が取れません。

ですので、1日1000文字程度だという風に自分のペースを見定めました。



この調子で、まずは消化しやすい部分を集中して書き進め、

3日で10000文字かきました。

のこり26000文字。



ペースが分かったので土曜、日曜をフルで執筆すれば、

難しい部分の文章も1日3000文字はいけそうです。

あと2回の土日があって、計4日間フル執筆の日がとれるので、12000文字いけます。



あとは平日で14000文字。

この時点では残り平日数は14日。一日1000文字のペースでいけます。

このあたりまで考えたら「もしかしたらいけるかも」と思い始めます。


それでも、苦しい仕事になるのは間違いないでしょう。

しかし、ゴールが見えたことで、気持ちはぜんぜん楽になりました。


以前に、某所でも書いたのですが

僕の持論として、

ゴールの分からないマラソンは走れないが、

ゴールが分かればあとは全力で走るだけだ。

というのがあります。

走ればゴールは必ず来ると分かっていれば、がんばれます。


そういうことを経て、とにかく原稿は完成しました。


昨日紹介したドラッカーさんの本に以下の言葉があります。

知識労働者は、すべて起業家として行動しなければならない。


起業家とは経営者のことですが、経営の定義を少し拡大解釈してみます。

経営とはマネージメントです。

Manageとは、「やりくりして何とかやり遂げること」と英辞朗に載ってました。


「なんとかしますよ。」


という言葉を言うのが好きですし、聞くのが好きです。



繰り返しになりますが、30代までに必要なこととは、

自分独自のやりこなすための鉄則」を集めておくこと

そして30代ではそれらを使ってやりぬくこと、です。


実は、僕が今回書いた本も、開発現場での自分独自の鉄則を見出すための本なのでした。