金融系の友人に進められた本だが、良い意味で頭の中をかき混ぜられたようなインスピレーションがあった。
ビジネス書としては簡単に読めるチャラ本で、早い人なら1日で読めるだろう。

- 作者: ダニエル・ピンク,大前研一
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2006/05/08
- メディア: 単行本
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ハイコンセプトとは、共感やデザイン、遊び心、ストーリー、生きがいといった
右脳的な感覚を活用して新しい価値を創造することである。
90年以降「情報化社会」というキーワードを中心として経済が回っていたが、
情報化を中心とする経済活動は一巡して、もはや経済の主軸となるほどのエネルギーはない。
そこで、本書では次の時代に経済の中心になる価値感が、この「ハイコンセプト」だと主張している。
ハイコンセプトという用語が胡散臭い(バズ臭い)し、
右脳、左脳という言葉も聞き飽きた感があるが、その辺は色眼鏡で見ずに読んで見る。
まず、情報化を主流とする経済価値は一巡して枯れたという主張にはうなづける。
ITエンジニアは、不人気職になりつつある。
さらに、情報化段階の価値として重要であった左脳的な能力は
インド・中国、およびコンピューターが担う時代がきているという主張も実感的に納得できる。
これもITエンジニアにとって脅威だろう。
さて、では次の時代に重要な価値感となるのは、
共感やデザイン、遊び心、ストーリー、生きがい、といった右脳的な感覚だとしたら、
エンジニアの未来はとざされたのか?
そうではないと思う。
価値観をシフトするのは、過去の全否定ではない。
時代は、次のステップの価値を求めているのであって、
その次のステップにいち早く到達できるのは、前の時代を制覇したものだと思う。
開発プロジェクトであっても、じつは求められるスキルは以前から右脳側への要求が大きい。
IDEなどのツールが整ってきたから右脳的仕事に注力できるようになってきた。
つまり、システム開発の本領発揮は情報化時代を終えた今からなのだと思う。
顧客要件に応じるというシステム開発は、実は左脳の作業よりも右脳の作業が重要なので、
右脳型エンジニアは、今後ますます需要が高まるだろう。
今、不人気職と言われていても
今後、別の形でもう一度ITは経済の主軸となる気がする。
そのとき求められるエンジニアは、右脳と左脳を共に活用できるものかもしれない。