レベルエンター山本大のブログ

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エンジニアにとっての会社の意義

以前、エンジニアは「営業からテストまで一巡してみろ」ってエントリしたところ
「それができたら会社はいらない」とかいうコメントが多くついた。

こういうコメントを個別に相手にするつもりはないけれど
1つ考えておかなくてはならないと思ってるのはフリーランスのエンジニアという存在だ。


たしかにエンジニアは、腕があれば会社に所属せずフリーランスでもしばらくは食っていける。
それが良いと感じる人も居るし、フリーランス自体を否定するものでは決して無いが、
じゃあ、皆が皆フリーランスで幸せにやってられるかというと、そんなことはない。


ある知人のフリーランスエンジニアの話から、会社の意義について考えよう。
彼は言った「フリーになってはじめて仲間の有難さがわかった。俺は会社にいるときどれだけ甘えてたか良くわかったよ。」と


彼は会社に所属しているときは、所謂「一匹狼」タイプで、組織に対しては常に一線を引いていた。
彼は言う「会社が同じじゃなければ、どんなに仲良く仕事しているチームメイトでも、最後の最後は助けてはくれない。
本当に利害関係無く付き合えるのは同じ会社の社員だけだ。」


彼は、フリーになってからのエピソードを話してくれた。
「ある日、プロジェクトの打ち上げの飲み会で飲みすぎてしまって、ちょっとした粗相をしてしまった。」


その粗相の内容は大したことのない言動で、酒の席での良くある失敗だったが
プロジェクトのメンバーは全員が取引先のプロパーである。
翌日、彼は仕事場でお叱りを受けたが、その時に会社員時代には感じなかった恐怖を覚えたと言う。


「もしかしたら、このまま明日から仕事が無くなるかもしれないという考えがよぎった」


会社員時代はただ「怒られた。」で済む話がフリーエンジニアになったとたん重く重くのしかかる。
仕事外でもこの調子だから、仕事内容に関わることならなおさらだ。
フリーランス個人事業主であり経営者だ。すべての責任を負っているのだ。
こういう細かいプレッシャーに耐え切れなくなって、そのフリーエンジニアは別の会社に入ることにした。


他のフリーのエンジニアで、50過ぎてCOBOLの保守をやっているオジサンに出会ったことがある。
企業勤めをしていれば管理職という手もあるが、独りフリーでやっているからには自分の腕だけが頼りだ。
「最近のなんたら指向にはついていけない。RDBにもついていけない」
と、おっしゃっていた。稼ぎは、当時25歳の僕と同じくらいだった。


仕事が途切れたとたんに無職になる。
わがままを言ってられないから、どんなデスマーチでも飛び込まなくちゃならない。


フリーランスに対するポジティブな意見もたくさんあるだろうから、
ネガティブな意見も知っておいて損は無いだろう。


会社の経営に必要なさまざまな事務手続きを、僕も経営会議前後で目の当たりにするけど、
会社を継続するには、本当に大変な影の努力が必要だ。営業ができたら成り立つなんて甘い。
営業ができなきゃ話にもならないけど、それ以外に自分たちを守る知識知恵をたくさんつけなくちゃならない。


ISMSやISOのセキュリティー管理ができていなければ、最近は取引すらしてくれない。
与信が通らなければ、大手は口座を開いてくれない。


さて本当に会社は不要か?